霧は雲の一種です。気温や水蒸気の影響により様々な種類に分かれます。
釧路空港に多く発生する霧は、暖かい湿った空気が海面に触れて冷やされた時の温度差によって発生します。このような霧を「海霧」(かいむ)と言います。
この「海霧」は季節に関係なく発生しますが、春先から夏にかけて多く発生する傾向があります。
高温多湿な小笠原気団が北に移動してくると、冷たい千島海流にぶつかります。この時の温度差によって海面に発生した霧が、夜間などの陸地の温度が低いときに内陸に入ってきます。
このような現象は、三陸沖から北海道太平洋海上に多く見られます。釧路空港は海岸線から約6kmと海に近く、標高約90mの小高い丘陵地に、また東側は釧路湿原の一部で低湿地という場所に位置し、特にこの影響を強く受けているのです。
ILS(Instrument Landing System)とは、計器着陸装置の略で、視界が悪いときで安全の滑走路まで誘導するシステムのことです。
また、カテゴリー(CAT)とは技術レベルのランクを表しており、大別して3種類のカテゴリーに分類されています。
カテゴリーが高くなるほど(数字が大きくなるほど)そのシステムは高い安全性と継続性を有したシステムとなり、その中で、CAT-Ⅱ、CAT-Ⅲa、b、cは高カテゴリーILSと呼ばれています。
カテゴリー (category) |
着陸最低運航条件(landing minima) | |
決心高(DH) | 滑走路視距離(RVR) | |
Ⅰ | 60m以上 | 550m以上 |
Ⅱ | 30m以上 | 350m以上 |
Ⅲa | 設定なし | 200m以上 |
Ⅲb | 設定なし | 100m以上 |
Ⅲc | 設定なし | 0m以上 |
霧の影響の多いたんちょう釧路空港において、従来のCAT-Ⅰ運用では限界がありました。それは下記イメージ図のように着陸最低気象条件が決心高60m以上、滑走路視距離600m以上と定められていたことにより、これを満たした気象条件でなければ航空機の着陸が困難だったためです。
しかし、CAT-Ⅲa運用をしはじめたことによって、着陸最低気象条件が大幅に改善。さらに2006年から、1ランクアップしたCAT-Ⅲb(※機材によっては対応してない場合あり)にて運用しております。これにより高い就航率が期待できますが、対応した機上設備、地上設備の全てが確実に機能することが必要となります。
CAT-Ⅲ 運航を実施するためには、大きく分けて次の4つの要素を全て満たさなければなりません。
まず最初は、地上施設です。CAT-Ⅲ用の地上施設が設備されていなければなりません。
次に機上装置です。航空機にCAT-Ⅲ用の機上装置が装備されていることが必要です。
地上施設、機上装置がそろっていてもまだCAT-Ⅲ運航はできません。 航空機の乗組員の訓練、審査が必要です。
最後は運航方式です。このCAT-Ⅲの運航方式が設定されていなければCAT-Ⅲ運航はできないのです。
1994年~2009年までの就航状況の推移をグラフにしてみました。
たんちょう釧路空港でのカテゴリーⅢa進入方式の導入は、1995年10月からの運用開始となっております。